■結納の起源
日本の結納の習慣はいつごろ生まれたのでしょうか?
結納の起源は古く、仁徳天皇(313〜399年)の時代まで遡ります。仁徳天皇が皇后を迎える際に贈物をされたのがその起源ともいわれ、古くは宮中儀礼の「納采の儀」より派生したものです。また、結納の語源にも諸説あって、「結いのもの」つまり宴席で共に飲食する酒と肴を意味しているとも、「云納(いい入れ)」という婚姻を申し込む言葉から転じたものともいわれています。
いずれにせよ、結納の習慣が庶民の間に広がったのはずっと後の時代のことです。
こうした宮中や貴族社会の儀礼は、時代とともに形を変えながら武士へと受け継がれました。室町時代には、武家の儀式・作法が小笠原流・伊勢流らの礼道によって体系化されますが、結納の形が整ったのはこの時代ともいわれています。その後、江戸末期になってようやく、婚礼や結納の儀式は武家社会から裕福な庶民に普及しはじめます。そして、現代。結納は地方の風習や流儀に影響を受けながら、全国津々浦々にまで浸透・定着していったのです。
宮中儀礼から武家作法、そして近世になってから庶民へと広がった結納の儀式。そうしたわけで、結納には絶対にこの方法が正しいという決まりはありません。結納は様々な階級や地方のしきたりを取り入れながら多様化していったものです。同じ地方でも、家によってしきたりが違うことはごく当たり前といえるでしょう。
また、当初は仲人が双方の家を往復して、結納の品物を取り交わした結納も、現代は仲人抜きで1カ所に両家が集まって行うことが多くなりました。仲人は披露宴の媒酌人だけを努める「頼まれ仲人」に、古くは肴や帯地などの品物を取り交わした結納品も結納飾りや指輪、現金に変わっています。つまり、古き良き伝統を受け継ぎながら、結納は合理的に変化しているのです。これからも結納は、時代にふさわしい形へと変化を続けることでしょう。
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